2016年度のエネルギー需給実績、原子力再稼働などによりCO2排出量が3年連続減少
資源エネルギー庁は11月17日、2016年度のエネルギー需給実績(速報値)を発表した。
それによると、2016年度の最終エネルギー消費は前年度比1.0%減の13,622PJで、1990年度とほぼ同水準。そのうち、電力は、3年ぶりの増加で同1.5%増の3,522PJ(9,783億kWh)だった。エネルギー白書によると、1990年代を通して原油価格が低水準で推移する中、家庭部門、業務他部門を中心にエネルギー消費が増加してきたが、2000年代半ば以降は再び原油価格が上昇したこともあり、2004年度をピークに最終エネルギー消費は減少傾向となった。さらに、2011年度からは、東日本大震災以降の節電意識の高まりなどによって一層減少が進んだ。なお、高度経済成長期以降の長期的な電力消費の増加傾向は、主に家電機器の普及など、民生用消費によるけん引に起因する。
2016年度の一次エネルギー国内供給は、前年度比0.3%減の21,154PJで、エネルギー源別にみると、化石燃料は3年連続で減少する一方、再生可能エネルギーや原子力などの非化石燃料は4年連続で増加した。
また、発電電力量は、前年度比2.1%増の1兆506億kWhで、その構成は、火力が83.0%(前年度比1.6ポイント減)、原子力が1.7%(同0.8ポイント増)、再生可能エネルギーが15.3%(同0.8ポイント増)などとなった。2016年度に稼働した原子力発電所は、四国電力伊方3号機、九州電力川内1、2号機の3基で、発電電力量は181億kWhだった。
エネルギー起源CO2排出量は、再生可能エネルギーの普及や原子力発電所の再稼働による電力低炭素化などを受け、前年度比0.5%減と3年連続で減少し、11億4,400万トンとなった。震災以降2013年度の12億3,500万トンまで増加したが、概ね震災前2010年度の水準(11億3,100万トン)にまで戻りつつある。電力のCO2原単位は、前年度比で1.0%改善し0.52kg-CO2/kWhだった。