関経連がエネミックスで意見書、「原子力発電の早期再稼働が大きな課題」
関西経済連合会は12月14日、現在検討が行われているエネルギー基本計画の見直しを踏まえ、意見書「2030年度のエネルギーミックスの実現に向けて」を発表した。2015年7月に策定された「長期エネルギー需給見通し」、いわゆる2030年エネルギーミックスが基本的視点とする「S+3E」(安全性、安定供給、経済効率性、環境適合)について考え方を述べている。
意見書ではまず、エネルギーミックスの現状として、原子力発電所の再稼働が進まず、代替火力燃料費について、「今後の油価動向次第で、大幅に増加するリスクを抱えており、3E指標すべてに影響」などと、経済効率性に関する影響を重くとらえ、「原子力発電の早期再稼働が大きな課題」と訴えている。
その上で、経済効率性について、関経連が会員企業を対象に行ったアンケート調査結果から、(1)低廉な電気料金の実現、(2)原子力発電の早期再稼働による代替火力燃料費の低減、(3)再生可能エネルギー固定価格買取制度の抜本的見直しによる国民負担の軽減――を国への要望として掲げた。アンケート調査では、「エネルギーミックスにおいて最も重視すべき事項」との問いに対し、最も多い回答が、大企業では「安定的で十分な電力の供給」(47.2%)だったのに対し、中小企業では「コストが安く経済性に優れた電力の供給」(55.0%)だったことから、意見書では「関西経済を支える中小企業への過度な負担を回避」することが課題だとしている。
また、原子力発電の再稼働に関して、新規制基準適合性審査のプロセス検証・効率化、消費地域も含めた理解促進のほか、「海外の事例も参考に、科学的根拠に基づく運転年限のあり方を検討すべき」と、40年運転制の見直しについても提言している。
この他、安定供給の面では、中長期的なベースロード電源の確保の考えから、国による原子力発電所の新増設・リプレースの方針決定や、核燃料サイクルの着実な推進などを掲げた。
意見書では、「S+3E」とともに、エネルギー基本計画が示す各電源に介在する課題をあげた上で、関経連が実施する企業研修プログラムや出前授業の経験などを踏まえ、学校教育におけるエネルギー関連のカリキュラム充実化についても訴えている。