原産協会「原子力新年の集い」開催、今井会長「業界一丸となって」と連携強化を呼びかけ
原産協会の「原子力新年の集い」が1月9日、東京プリンスホテル(東京・港区)で開催され、会員企業、政府関係、駐日大使館などから約900名が参集し、新しい年の幕開けを慶び親睦を深め合った。冒頭、挨拶に立った今井敬会長はまず、2017年の原子力発電所再稼働の状況について述べた。その中で、12月に広島高裁より四国電力伊方3号機の運転差止めを命じる仮処分決定が出されたことに触れ、原子力規制委員会の審査に反する判断がなされたことに対し憂いを示し、事業者の異議申立てにより「正しい判断が出ることを心から期待する」と強調した。また、同月、東京電力柏崎刈羽6、7号機がBWRとして初めて新規制基準への適合性審査を「合格」したことに関して、「これでPWRとBWRのどちらも先例が得られた。今後は再稼働に弾みがつく」と、期待を述べた。さらに、「2030年度の総発電電力量に占める原子力比率20~22%」を掲げるエネルギーミックスの達成については、「30基の稼働が必要。新増設の見通しが立たぬところ、既存の原子力発電所の再稼働とともに、運転期間延長を最大限進める以外に手段はない」とした。
長期的な地球温暖化問題に関連し今井会長は、現在資源エネルギー庁で進められている2050年を見据えたエネルギー政策の検討について触れ、「新増設の検討を進めなければ、2050年の長期目標(80%の温室効果ガス排出削減)は達成できない」と、原子力発電を維持していく必要性を強調した。
その上で、今井会長は、昨今の世界情勢に鑑みたエネルギー安全保障の観点から、「原子力発電の必要性が国民の中に根付くよう、われわれは業界一丸となって様々な場所で理解活動を進めなければならない」などと、原子力業界全体が結集する取組が早急に進むよう連携強化を一堂に呼びかけた。
来賓として訪れた経済産業省の平木大作大臣政務官は、東日本大震災から間もなく7年を迎えるのに際し、「福島の復興と福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策は経産省にとって最重要課題」と述べ、引き続き国を挙げて着実に取り組んでいく考えを強調した。
また、電気事業連合会の勝野哲会長は、2017年の原子力発電所再稼働について振り返った上で、「再稼働したプラントは安全を最優先に安定運転の実績を積み、他のプラントについても一日も早い再稼働に向け審査に全力で対応する」としたほか、原子燃料サイクルの推進、高レベル放射性廃棄物の最終処分などにも引き続き取り組んでいくことを改めて述べた。