規制委が帰還困難区域の空間線量率分布を公表、更田委員長が除染目標との整合性で意見述べる
原子力規制委員会は1月17日の定例会議で、福島第一原子力発電所事故に伴う帰還困難区域における空間線量率の分布をマップ化したモニタリング結果を公表した。モニタリングは、帰還困難区域が設定された自治体のうち要望のあった双葉町、富岡町、葛尾村、大熊町、浪江町で2017年7~9月に実施されたもので、主に測定器を人が背負う歩行サーベイと自動車に搭載する走行サーベイにより、地上から1mの高さの空間線量率を測定した。帰還困難区域におけるモニタリング結果が規制委員会より公表されるのは、2016年11月以来のこと。
モニタリング結果は、100m四方のメッシュに区切り、空間線量率の高さで色分けされており、高いエリアでも3.8~9.5マイクロSv/hで、0.2マイクロSv/h以下のエリアも散在していた。(2017年3月の空間線量率は、福島市で0.17マイクロSv/h、会津若松市で0.06マイクロSv/h、いわき市で0.07マイクロSv/h〈福島県発表〉)
原子力規制庁監視情報課よりモニタリング結果の説明を受け、更田豊志委員長は、12月の福島県内市町村訪問を振り返り、各自治体でも独自にデータを発表していることなどから、これらを規制委員会のデータとも合わせて、よりわかりやすい放射線モニタリング情報が構築されることを求めた。また、除染の長期的目標とされている追加被ばく線量1mSv/年が空間線量率0.23マイクロSv/hに相当するということに関して、「事故当初は手探りで保守的な設定となったのは仕方がない。改めるべきところは改めていかないと、帰還や復興を妨げる」などと、これまでに蓄積されたデータを踏まえ見直す必要性を示唆した。
更田委員長は会議終了後の記者会見で、「空間線量率と被ばく線量との関係をきちんとデータを示した上で改めていくことが大事」などと、繰り返し強調した。