規制委が原電と意見交換、村松社長「安全の足下からの徹底」を強調

2018年1月25日

 原子力規制委員会は1月24日、日本原子力発電の村松衛社長らと意見交換を行った。同委は、原子力事業者の経営トップとの安全性向上に関する意見交換を月1回程度公開の場で実施しており、既に3巡目に入っている。
 村松社長は、冒頭、「安全の足下からの徹底に向け、社長としてリーダーシップをとっていく」と述べ、さらなる安全文化の向上、核セキュリティの強化、要員の教育・訓練、地域のコミュニケーションなどの取組状況について説明した。
 これを受け、折しも前日に噴火した草津白根山に関して、地震・津波関連の審査を担当する石渡明委員は、「原子力の安全に自然現象は重大な結果をもたらす」と述べた上で、現在新規制基準適合性審査が進められている東海第二発電所について、基準で評価・予防措置が要求される160kmより離れてはいるものの、火砕流や火山灰の影響に対し「是非関心を持って欲しい」などと要望した。
 東海第二発電所は、新規制基準適合性審査と合わせて、2017年11月に運転期間延長審査の申請も出されているが、40年の運転期限が11月末に迫っていることから、更田豊志委員長は、「限られた時間での審査。どういう方針で進めるか早急に意思疎通ができるように」などと述べた。これに対し、村松社長は、「経営の最優先事項として危機感を持って取り組んでいる」とした上で、即戦力となる要員を他社からも呼び入れ、審査に全力で対応していることを強調した。
 また、プラントが長期間停止している状況に関し、伴信彦委員が技術力の停滞とともに、「一人一人のフラストレーションが溜まってはいないか」などと士気の低下を懸念すると、村松社長は、「モチベーション維持のため、トップが発信していく」として、若手に対し原子力分野には多くのビジネスチャンスがあることを喚起していく意欲を示した。
 原電では、敦賀1号機の廃炉が2015年に決定しているが、これに関し、更田委員長は、解体廃棄物の有効利用について、米国・ザイオン発電所の先行例も参考に検討して欲しいと述べた。さらに、同機が福島第一1号機とともに非常用復水器(IC)を持つMark-I型プラントでは国内に2基のみであることを強調し、運転・訓練の知見を「今後の安全を考える上で貴重な材料」として残しておくよう要望した。