福島第一・増田プレジデント、3号機使用済み燃料取り出しに向け「いよいよ大詰め」
東京電力は2月1日、福島第一原子力発電所廃止措置の進捗状況を発表した。同社福島第一廃炉推進カンパニーの増田尚宏プレジデントは、富岡町で行われた月例記者会見で、3号機使用済み燃料プールからの燃料取り出し準備状況、燃料デブリ取り出しに向けて1月19日に実施した2号機原子炉格納容器内部調査の結果などについて説明した。
3号機原子炉建屋では、1年前の2017年1月より使用済み燃料取り出し用カバー設置工事を開始しているが、全8ユニットからなるドーム屋根は、2月中に最後の2ユニットを設置し、同11月に据え付けられた燃料取扱機を完全に覆う運びだ。同機の使用済み燃料取り出し開始について、12月末の月例会見で、「確実にスタートさせる」と、新年の抱負を述べた増田プレジデントは、「いよいよ大詰め」と緊張感を示し、「予定通り今年中頃。慎重かつ着実に作業を進めていく」と強調した。
また、2号機では1月19日、カメラや測定器具を伸縮式のガイドパイプの先端から釣りざおのように吊りおろす格好で原子炉格納容器内部調査が行われ、ペデスタル(原子炉圧力容器下部)底部に燃料デブリと思われる小石状・粘土状の堆積物を確認している。2月1日の会見では、ペデスタル内鉛直方向に4か所の測定データが公表され、いずれも線量は7~8グレイ/時、温度は21度Cと、ほぼ一定の値だったが、ペデスタル外の線量はそれよりも高い最大42グレイ/時が測定されている。記者団との質疑で、増田プレジデントは、「人間の入れる場所ではない」と、今後の燃料デブリ取り出しに向け、遠隔操作の技術開発をさらに進めていく必要性を改めて示したほか、「どうすれば安全に作業ができるか。やることがいっぱいある」などと、困難な課題に立ち向かっていく意欲を見せた。
1号機では1月22日より、使用済み燃料取り出しに向け原子炉建屋がれき撤去作業が始まっているが、これらにより発生するがれき類の保管容量を確保すべく、2月1日に固体廃棄物貯蔵庫の第9棟が運用を開始した。第9棟は、既存の第1~8棟の約4割に匹敵する約61,200立方m(200リットルドラム缶約11万本相当)の保管容量を有している。