規制委、IRRSのフォローアップミッション受入れで輸送規制に関する評価も
原子力規制委員会は2月14日の会合で、2016年1月にIAEAの専門家が来日し実施された原子力安全規制の枠組みに対する総合規制評価サービス(IRRS)について、フォローアップミッションの受入れ準備状況を確認した。その中で、今回のIRRSでは除外された放射性物質の輸送規制に関する評価も合わせて受けることを了承した。フォローアップミッションは、本ミッション指摘事項への対応状況をレビューするため、2~4年後を目途に実施されるもの。同委では、4月にもIRRSフォローアップミッション対応室を設置し、2019年夏以降、適切な時期の受入れに向け準備を進めることとしている。
2016年4月にIAEAより日本に提出されたIRRS報告書では、勧告、提言がそれぞれ13件指摘された。規制委員会ではこれらを31項目の課題に整理し、専門審査会の助言も踏まえ対応を図っており、そのうち、検査制度や放射線源規制については、既に法令改正により一部実施に移されている状況だ。
一方、IRRSフォローアップミッションで評価を行うこととされた放射性物質の輸送規制に関しては、2005年にIAEAの輸送安全評価サービス(TranSAS)を受けていることから、2016年のIRRSでは評価対象から除外された。原子力規制庁国際室の説明によると、TranSASは、日本で行われた2005年以降、各国の受入れ実績がなく、近年、輸送規制に関する評価が、IRRSの本ミッションやフォローアップミッションの中で実施された国もあることから、関係省庁との協議により今回の対応方針となった。評価対象となるのは輸送物に対する規制で、輸送方法に関しては、国際海事機関(海上輸送)や国際民間航空機関(航空輸送)などにより、別途国際評価を受けることとなっている。
TranSASは、IAEAの放射性物質安全輸送規則などをベースに、加盟国における輸送規制の実施状況を評価することを目的として1998年に創設されたもので、日本以外では、スロベニア、ブラジル、英国、トルコ、パナマ、フランスで実施されたことがある。日本は、2005年の受入れで、輸送容器承認システムなどが良好事例としてあげられており、報告書が公表された6か国中で最も優良な評価結果だった。