原産協会プレスブリーフィング 2050年に向け原子力発電所新設をふまえた議論を

2018年2月23日

 高橋明男原産協会理事長2月22日、メディア対象の定例ブリーフィングを行った。
 高橋理事長は冒頭で、間もなく福島第一原子力発電所事故から7年を迎えることに触れ、原子力事業者はこのような事故を二度と起こさないという強い決意のもと、安全第一で原子力発電所の運転再開を果たし、再開後も安全運転を継続して信頼回復に寄与してほしいとした。
 続いて原産協会の喜多智彦人材育成部長より、2019年卒の大学生・大学院生・高専生を主な対象とした合同企業説明会「PAI原子力産業セミナー」の案内があった。同セミナーは原子力関連企業および機関と学生の採用就職活動の支援と原子力産業界への理解向上をめざすもので、3月3日の東京会場には41社・機関、3月7日の大阪には31社・機関が参加する。昨年の参加は東京が36社・機関、大阪が23社・機関であり、いずれも増えている。
 その後の質疑応答等で高橋理事長は、経済産業省のエネルギー情勢懇談会で2050年を見据えたエネルギーのあり方の議論が行われていることについて、CO2削減目標を達成できる電源構成を考えることが必要であることに言及。再生可能エネルギーのさらなる利用とともに原子力発電も必要であるとした上で、原子力発電所の新設やリプレースには許認可や建設などに時間がかかることに留意して、長期的視点に立ったエネルギー政策を進めていくことを求めた。
 原子力発電所の再稼働が進まない中で、主要プラントメーカーが再編していく可能性については、それぞれ伝統ある会社なので企業制度や文化などのすり合わせは難しいだろうと考える一方、これまでにもタービンや変圧器など企業間で協力してきた例は多いこと等を紹介した。
 さらに、電力会社でも今後経営判断により原子力発電事業の新増設を選ばない可能性があるのではという質問に対しては、難しい問題ではあるが、電力事業は需給と供給のバランスをとりながら質の良い電気を提供することが大前提であり、儲ければ良いというのではなく公益事業として国民のために進められるべきものであるとの認識を示した。