エネ庁他、自主的安全性向上WGの検討状況を原子力委に説明
資源エネルギー庁は2月26日の原子力委員会会合で、自主的安全性向上ワーキンググループの検討状況について説明した。今後、業界大での連携を強化し、現場の安全性をさらに高い水準に結び付けていく仕組みを確立するなど、産業界の取組強化を図っていくとしている。会合には、資源エネルギー庁の遠藤量太原子力基盤室長の他、電気事業連合会の富岡義博理事、原子力安全推進協会(JANSI)の山﨑広美専務理事も同席した。
これに先立ち、同ワーキンググループは、2月21日の会合で、「産業界において、自律的に安全性向上の仕組みが機能し、国民の信頼を獲得していく」ための取組を、今後のアクションプランとしてまとめた。米国において、規制対応、ロビー活動、情報発信の取組を通じて原子力産業界を牽引している「原子力エネルギー協会」(NEI)の事例を参考に、「日本版NEI」の枠組み作りなどを検討してきたもので、アクションプランは、(1)業界大としての取組・持つべき機能の強化、(2)リスク情報活用の着実な実行、(3)自主規制活動のさらなる実施、(4)社会への情報発信、(5)軽水炉安全技術・人材――に整理されている。その中で、業界大としての取組としては、電気事業連合会が中心となって、技術的知見の集約・発信や規制当局との対話などを図る「新たな機能」を立ち上げることとされた。
福島第一原子力発電所事故以降、事業者の安全性向上を支援する組織として、JANSI、電力中央研究所の原子力リスク研究センター(NRRC)が設立されてきたが、こうした自主的な取組に関し、原子力委員からは、「全体を俯瞰するとどのようなものか」、「成果は出ているのか」といった疑問が発せられた。
これに対し、遠藤室長らは、原子力の安全確保を巡る特徴として、「一度事故が起きてしまった場合の社会に及ぼす影響の大きさ」を強調した上で、「現場の努力をどう社会に理解してもらうか」を課題として掲げ、若手を起用した電力会社のCMを例に、「等身大で語れる人」の存在が有効なことなどを述べた。また、今後取り組むべき業界大での連携強化に向けては、JANSIのピアレビュー活動による指摘事項や、東京電力が経営層への監視・支援強化として設置した「原子力安全監視室」など、電力各社の取組を検証し最も優れた機能(エクセレンス)を取り込んでいくことが具体的方策として示された。
岡芳明委員長は、米国原子力学会との協力活動の経験を踏まえ、コミュニケーションのあり方における日米間の違いなどから、米国の仕組みが必ずしもそのまま受け入れられないことを指摘した上で、引き続き新たな安全性向上の取組を注視していく考えを述べた。