原子力委が人材育成で見解、産学官の連携・協力を評価

2018年2月28日

 原子力委員会は2月27日、原子力分野における人材育成に関する見解をまとめた。その中で産学官による協力枠組「原子力人材育成ネットワーク」の活動を始め、関係省庁・機関による人材育成の取組状況について、「精力的に行われている」と評価した上で、「産学官が一層連携することで、より効率的、効果的な活動とする必要がある」との認識を示している。
 大学については、研究設備の老朽化が進む現状を問題視し、「研究設備の充実は教育の充実」として抜本的対策を、企業については、原子力発電所の長期間停止により、日本が培ってきた技術と経験が失われることを懸念し、「暗黙知を顕現化させるとともに、仕事を通じて技術伝承していくこと」を求めている。その上で、今回の見解では、高等教育段階と就職後の人材育成において、それぞれ留意すべき事項を示した。
 優秀な人材の獲得については「人材育成の第一歩」とし、高校や大学で学生を惹きつけるため、原子力科学技術および関連分野の魅力や原子力の果たす役割を、また、企業の採用活動に際しては、エネルギー産業としての原子力の意義・魅力を伝えていく必要性などを指摘している。
 また、就職後の人材育成については、「仕事を通じた人材育成」を基本としているが、原子力発電の分野では、プラントの長期間停止から及ぼされる事業撤退、それに伴う技術者の高齢化・若手の経験不足、製造ノウハウの喪失などを懸念し、技術・人材の維持のため、海外プラントの建設により、現場での経験を得ることも一方策としてあげている。