原産協会プレスブリーフィング 原子力技術維持の観点からも海外展開などに期待
高橋明男原産協会理事長は3月22日、メディア対象の定例ブリーフィングを行った。震災から7年を迎えたことについて、原産協会としては地域に寄り添った活動を通してお役に立てればとの気持ちを表明した。
はじめに、3月3日に東京、7日に大阪で開催された2019年卒の大学生・大学院生・高専生を主な対象とした合同企業説明会「PAI原子力産業セミナー」の速報として、過去最高の72社・機関が参加したことに触れた。来場学生数は383名と昨年(442人)より若干減少したものの、会場に長く滞在して多数のブースを訪れた学生が多く熱心な姿勢が見られたこと、マスコミ取材も入ったことなどを報告した。
続いて、4月9日・10日に千代田区の都市センターホテルで開催される「第51回原産年次大会」について紹介した。初日には、経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)のW.マグウッド事務局長と、14歳の時に核融合炉を自作した米国核物理学者のT.ウィルソン氏が特別講演を行う。
その後の質疑応答で高橋理事長は、原子力発電所が少しずつ再稼働していることに対し、新規制基準合格の実績を各電力が水平展開していくとともに、規制側も経験を踏まえて効率よく進めてほしいとの思いを述べた。
原子力技術の継承に関する質問には、現在プラントの停止期間が長引くためOJTの機会が減っていることと、2010年代に入って原子力発電所の建設もほとんど行っていないために設計技術を深める機会もなくなっていることに懸念を示し、今後の原子力発電所の再稼働や海外への展開に期待を込めた。
佐賀地裁が玄海原子力発電所3、4号機の再稼動の差し止めを却下したことに関しては、規制庁も指摘しているようにゼロリスクということはなく確率はどんなに低くてもリスクはあり、「社会通念上の安全」という概念でないと進めていくことができないため、難しい判断だとは思うがとても重要な判断だと語った。