四国電力が伊方2号機の廃止決定、残る3号機の運転に向け「気持ちも新たに」
四国電力は3月27日、伊方発電所2号機(PWR、56.6万kW)の廃止を決定した。1982年3月の運転開始から36年を迎える同機については、新規制基準への適合や40年目以降の運転期間延長に向けて具体的検討を進めてきたが、大規模かつ長期間の耐震工事が必要となることから、再稼働した場合の電力供給なども合わせて、総合的に勘案し廃止することとなった。同社によると、伊方2号機は、2012年1月の定期検査入りに伴い停止するまで、総発電電力量1,222億kWh、平均設備利用率82.0%の発電実績を積んだ。伊方発電所では既に、2号機と同規模の1号機が2016年5月に廃止となっており、両機とも新規制基準への適合性審査は申請されずに電力供給の役目を終えることとなった。これにより、伊方発電所の運転プラントは3号機の1基のみとなったが、同機は広島高裁による運転差止仮処分が出されている。
四国電力の佐伯勇人社長は、廃止を決定した伊方2号機について、立地地域による理解・協力のもと、「安定かつ低廉な電力供給を支える基幹電源として、その役割を果たしてきた」と労い、残る3号機の今後に向けては、「重要な基幹電源として、気持ちも新たに安全・安定運転に取り組む」などとコメントした。
また、愛媛県の中村時広知事はメッセージを発表し、佐伯社長から伊方2号機廃止決定の報告を受け、「安全性の確保を最優先に」今後の対応を進めていくよう要請した。伊方3号機の運転に向けては、「住民生活や経済活動に支障が出ないよう、四国全体の電力供給にしっかりと向き合う」ことを、さらに、敷地内の乾式貯蔵施設設置の検討に関しては、「あくまでも一時的な保管である」ことを、県民に対し丁寧に説明するよう求めている。
なお、四国電力は2016年に、伊方1号機の廃止措置に向けて、PWRの特徴を踏まえた廃止措置技術に関わる研究開発を行う産学官連携の検討会を立ち上げている。検討会に関し同社では、「2号機にも流用できるもの」としており、両機ともに今後のPWR廃炉の知見蓄積に貢献することとなりそうだ。