福島第一・増田プレジデント、今月末の退任を前に現場で働く6,000人に謝意

 東京電力は3月29日、福島第一原子力発電所廃止措置の進捗状況を発表した。2号機では、2023年度の開始を目指す使用済み燃料プール内の燃料取り出しに向けて、原子炉建屋上部の全面解体が計画されているが、放射性物質の飛散対策のため、オペレーティングフロア(5階)内における線量・ダスト濃度などを調査すべく、西側外壁に開口を設置する作業を4月より実施する。また、5、6号機に保管されている未使用の燃料計596体のうち、360体(5号機168体、6号機192体)を、2018年度第4四半期より、燃料加工メーカーの原子燃料工業に搬出する計画だ。
 同日福島県内で行われた記者会見で、福島第一廃炉推進カンパニー・プレジデントの増田尚宏氏(=写真)は、3月末での退任に際し、「作業に当たっている6,000人の当社社員、協力企業の方々のおかげで漸くここまで進んだ」と感謝の意を述べる一方、「浜通りの皆様の帰還を見ぬまま去るのは心残り」として、後任にたすきをつなぎ、地元の方々に不安を与えぬよう廃止措置が着実に進展することを願った。増田氏は、2014年4月に設置された同カンパニーの初代プレジデントとして、福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策をリードするとともに、毎月中長期ロードマップ進捗状況の会見に臨み、スポークスマンとしての役割も果たしてきた。これまでの4年間を振り返り、同氏は、「安全な環境で計画的に作業を進めること」、「廃炉の実態を広く社会に伝えていくこと」を目指してきたなどとしている。「廃炉の現場の今」については、より広く知ってもらうため、WEBコンテンツ「INSIDE FUKUSHIMA DAIICHI ~ 廃炉の現場をめぐるバーチャルツアー ~」の公開を開始したことが披露された。増田氏は、4月以降副社長として東京電力全体の危機管理に携わることとなるが、「福島での経験を活かし、電気というライフラインを守っていく」と今後の抱負を述べた。
 また、合わせて福島第一原子力発電所長を3月末で退任する内田俊志氏も挨拶に立ち、2年9か月の在任中、特に現場の安全確保に努めてきたことを強調したほか、陸側遮水壁の凍結、3号機の使用済み燃料取り出し準備、2号機の原子炉格納容器内部調査など、「着実に前に進めることができた」と振り返った。