産業団体が連名で「電気料金抑制を実現するエネルギー・温暖化政策を求める」提言を公表
日本経済団体連合会、日本商工会議所他、産業団体は連名で4月16日、「電気料金抑制を実現するエネルギー・温暖化政策を求める」提言を取りまとめ公表した。(日商の発表によると4月17日現在で135団体が賛同)
提言ではまず、エネルギー問題を、「国民生活と事業活動の基盤となる極めて重要な政策課題」ととらえ、「S+3E」(安全性、安定供給、経済効率性、環境適合性)のバランス感ある政策が実現される必要性を述べている。東日本大震災から7年を経過した今なお、「電気料金上昇の負担が重くのしかかっている」ことから、電力多消費型の中小企業の倒産・事業撤退や、製造拠点の海外移転に伴う国内の技術基盤衰退や雇用機会喪失など、産業界に及ぼす悪影響があげられた。その上で、エネルギー基本計画の見直しを始め、エネルギー政策・地球温暖化対策を巡る議論が佳境にある中、「経済合理的な価格での安定したエネルギー供給の実現が不可欠」として、製造業を中心とする業界団体の賛同で、「電気料金負担を十分に抑制する諸施策を講じて欲しい」と要望している。
資源エネルギー庁が昨秋取りまとめた電力需給検証報告書によると、原子力発電の稼働停止に伴い、火力発電をたき増したことによる2016年度の燃料費増加は約1.3兆円と試算されている。また、日商がおよそ130社から回答を得た調査結果によると、2011年4月~12年3月と2015年9月~16年8月とを比較し、1社当たり平均で、総電力使用量は3.6%減少しているにもかかわらず、電力コスト単価が11.8%上昇したことにより、総電力コストは29,867,899円から32,194,513円に増加していた。さらに、電気料金上昇が経営に及ぼす影響として、「悪影響がある」と「今のところ影響はないが、震災前より高い状態が続けば悪影響が懸念」との回答が合わせて62.7%に上るなど、厳しい状況が示されている。