日本へのOECD政策提言が公表、「パリ協定」の目標達成に向け「野心を高めていく必要」

2018年4月19日

グリアOECD事務総長(左)と安部首相©外務省

 アンヘル・グリアOECD事務総長の日本公式訪問に伴い、安倍首相らに手交された政策提言がこのほど日本語訳と合わせてOECD東京センターのホームページに公表された。グリア事務総長は4月12、13日に来日した。
 このほど日本に対し提示された「高齢化社会における包摂的な成長の促進」と題する政策提言は、まず、2013年に開始したアベノミクスの経済的奏功を評価しつつも、日本が直面する高齢化、財政の持続可能性、地域の幸福といった課題に向け、「構造改革努力の継続が必要」と述べている。その上で、「税制改革」、「医療と介護の持続可能性を確保」、「労働市場における人材の最大活用」、「日本の教育制度」、「イノベーションの構成条件を強化」、「貿易と投資の拡大」、「国際スポーツイベントの最大限の活用」、「日本経済のグリーン化」の項目ごとに、今後日本が取り組むべきことを提言している。
 その中で、「日本経済のグリーン化」では、福島第一原子力発電所事故後、化石燃料への依存が増大している日本のエネルギー事情について触れた上、温室効果ガス排出削減の国際枠組み「パリ協定」の目標達成には、「現行目標を超えて削減に対する野心を高めていく必要がある」と指摘した。これに向けて、2050年までの長期的な気候変動対策目標に向けた戦略を確立し、エネルギー効率向上や再生可能エネルギー、原子力なども含めた革新的な低炭素テクノロジーに関する研究開発を促進、普及させることにより、「抜本的な低炭素変革のための措置」を検討すべきとしている。
 日本の掲げる「2050年までに温室効果ガス排出量を80%削減」との長期目標に向けた戦略確立には、「経済の抜本的な変革」が求められるとしており、エネルギーや環境の他、金融、財政など、異なる政策分野が足並みをそろえて、政府一丸で取り組まねばならないと提言している。