昨年度の福島県産農産物の輸出量が過去最高の210トンに、知事「もっと多くの国々に」
福島県の内堀雅雄知事は4月23日の定例記者会見で、2017年度の福島県産農産物の輸出量が、統計を取り始めた2005年度以降で過去最高の210トンに達したと発表した。震災前の2010年度は153トンだったが、被災地産の食品を忌避する風評被害の影響により、福島県産農産物の輸出量は一時ゼロ近くにまで落ち込んだ。輸出回復に向け、知事自らによる海外での積極的なトップセールスが功を奏し、2017年に取引合意に至ったマレーシアへの米輸出では、農産物全輸出量の半分に匹敵する100トンを達成。東南アジアを中心とする新たな果物の販路開拓も躍進し、例えば、ベトナムへの梨の輸出量は11.5トンに上っている。昨夏、知事は、マレーシア・ベトナム訪問で、桃、梨、米の輸出や福島空港へのチャーター便の拡大とともに、県に対する風評払拭を働きかけた。会見で内堀知事は、「県産農産物の安全対策が評価され、品質、おいしさともに見直されたことが、今回の記録更新につながった」としている。一方で、「未だ福島の風評被害は現在進行形」などと、厳しい現状認識を改めて示し、「品質の高さ、おいしさ、安全性をもっと多くの国々に発信し輸出を増やしていきたい」と、さらなる販路拡大に意欲を見せた。
農林水産省が3月末に発表した2017年度の福島県産農産物の流通実態調査結果によると、例えば、猪苗代町産の米では、「冷めても粒がしっかりしている」という特長を活かし、寿司用の米として、欧州や中東の見本市に出品するなど、輸出拡大を目指す生産者による取組が紹介されている。「究極のすし米」をうたって売り込んだ結果、アラブ首長国連邦では「日本産高級米」として店先に並ぶようになったとしている。