福島第一、2号機原子炉格納容器内の堆積物で解明進む
東京電力は4月26日、福島第一原子力発電所廃止措置の進捗状況を発表した。
使用済み燃料プールからの燃料取り出しに向けては、2号機の原子炉建屋西側外壁から、オペレーティングフロア内にアクセスするための開口作業を16日より開始した。壁に直径10cm程度の穴を開け円柱状の試験体を採取し、内壁面の汚染状況を確認したところ、入域実績がある原子炉建屋1階の汚染密度と同程度であった。今後、採取した試験体の詳細分析などを進め、5月下旬より遠隔無人重機による開口部分の壁解体作業に入る予定だ。2号機では2023年度目処に燃料取り出しを開始することとなっている。
燃料デブリ取り出しに向けては、1月に実施した2号機の原子炉格納容器内部調査で取得した画像分析で、燃料デブリを含むと思われる堆積物がペデスタル(原子炉圧力容器下部)底部に存在することが確認されたが、その後の詳細分析で、底部には冷却水が降り注ぎ、温度測定値が20度C程度であったことから、堆積物は安定した冷却状態にあるものとみている。さらに、堆積物が周囲より高くなっている箇所が複数あることから、燃料デブリの落下経路も複数存在するものと推定された。福島第一廃炉カンパニープレジデントの小野明氏は、26日に福島県内で行われた記者会見で、今回の分析結果について「調査対象を絞り込めるようになったことがまず大きな成果」と評価している。
労働環境の関係では、熱中症の発症について、福島第一における夏場作業(4~10月)の経験のない作業員の割合が、2016年度は50%、2017年度は83%と、未経験者に集中する傾向が示されたことから、今夏は、ヘルメットや作業着にステッカーや赤マジックで識別を付けるなど、熱中症の予防対策が強化される見通しだ。