全原協が政府関係者と意見交換、エネ政策「明確な方針を」

2018年5月15日

 「全国原子力発電所所在市町村協議会」(会長=渕上隆信・敦賀市長)が5月14日、都内で総会を開催し、2018年度の事業計画・予算の審議などを行った。同協議会は、原子力発電所の立地市町村が結束し、住民の安全確保と地域振興を目的として1968年に設立された団体で、間もなく発足50周年を迎える。総会では、核燃料サイクル施設を立地するむつ市と六ヶ所村が準会員から正会員となることが承認された。
 事業計画に盛り込まれた国や関係機関への要請事項は、「原子力発電等に関する要請書」としてまとめられ、これを受けて市町村長らと政府関係者との意見交換が行われた。要請書は冒頭、被災地復興を第一に掲げた上で、廃炉の進展にも言及し、バックエンド問題への取組加速をより強く訴えている。さらに、大詰めとなっているエネルギー政策の議論に関して、「将来を見据えた持続可能なエネルギー需給構造を構築する上で原子力政策をどう進めるべきか、明確な方針を示すことはこれまで国策に協力してきた立地地域に対する国の責務」と述べている。
 大飯発電所を立地するおおい町の中塚寛町長は、廃炉と再稼働が同時に進行する地域事情を述べ、交付金制度の柔軟な運用や、災害制圧・避難に必要なインフラの整備などを要望し、また、高浜町の野瀬豊町長は、エネルギー基本計画見直しの議論について、「『お花畑』のようなイメージ戦略ではなく、しっかりと現実を見据えて」などと説得力の弱さを指摘した。
 これらに対し、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長の村瀬佳史氏は、「立地地域なくして原子力政策は成り立たない。いただいた意見を真摯に受け止める」、「地に足の着いた議論を行う」とした上で、エネルギーに関する消費地域やマスコミへの理解活動も強化していくことを約束した。
 また、東海村の萩谷浩康副村長より、発電所周辺に人口が密集することから「発災時に秩序ある避難ができるのか」、将来の人材育成・確保に向け「負のイメージの払拭を」などと、不安・懸念が述べられたのに対し、内閣府(原子力防災担当)、文部科学省がそれぞれ、原子力の防災対策、研究基盤整備・人材確保に関する取組状況を説明した。