エネ庁高速炉開発WG、仏CEAより「ASTRID」計画についてヒア
資源エネルギー庁の高速炉開発に関する戦略ワーキンググループは6月1日、フランス原子力・代替エネルギー庁(CEA)より、同国が進める高速実証炉「ASTRID」計画についてヒアリングを行った。「ASTRID」は、工業的実証を目的とする60万kWのプラントとして2012年に技術仕様が決定され、2014年には日仏協力での開発が開始されている。日本では、2016年末に決定した「高速炉開発の方針」で、高速増殖原型炉「もんじゅ」は廃炉とすることとなったが、高速炉特有の技術課題については、「ASTRID」などの海外プラントからの運転データ蓄積により、「『もんじゅ』を再開した場合と同様の知見の獲得を図る」と明記されている。
ワーキンググループ会合で、CEA原子力部門プログラムマネージャーのニコラ・ドゥヴィクトール氏は、高速炉の実用化について、「現在のウラン市場の状況に鑑みると、それほど緊急ではない」と、その決定を遅らせる考えとともに、「ASTRID」の規模を10~20万kW程度に縮小して実施する新たなプログラムを示した。その上で、日本に対し、新たなプログラムにおいても、「主要な外国パートナー」として協力関係の継続を求めた。
これを受けて、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長の村瀬佳史氏は、年内策定を目指す10年程度の高速炉開発作業を示す「戦略ロードマップ」に資するよう、今後のフランス側との協力について検討していく考えを述べた。
ドゥヴィクトール氏は、2016年にも資源エネルギー庁の会合に出席し、日本の持つ高速炉開発に関する技術、知見、実験施設の重要性を強調し、「ASTRID」計画における日仏間協力に期待を寄せている。