中国電力、16日より島根3号機の新規制基準適合性審査申請で住民説明会開催へ

2018年6月7日

 中国電力は、6月16日の松江市を皮切りに、建設中の島根原子力発電所3号機(ABWR、137.3万kW)に係る新規制基準適合性審査の原子力規制委員会への申請に関する住民説明会を、順次開催する。同社は5月22日に、島根県と松江市に対し、安全協定に基づき本件に係る事前了解願いを提出したところだ。
 島根3号機は、2005年に着工し、福島第一原子力発電所事故前に公表の建設工程では2011年6月の燃料装荷が予定されるなど、主要設備はほぼ完成に至っているが、現在、新規制基準に係る審査や安全対策工事のスケジュールが見通せないことから、運転開始時期は未定となっている。また、同1号機は2015年に廃炉が決定しており、同2号機は新規制基準への適合性が審査中だ。
 中国電力からの事前了解願い提出を受け、松江市の松浦正敬市長は5月29日に島根3号機の現地視察を行った。松浦市長は、2009年夏に行われたプラントの「心臓部」ともいえる原子炉圧力容器(本体重量約820トン)のつり込み作業時(=写真)にも同機を訪れるなど、建設工事の安全な進捗に強い関心を示している。
 住民説明会は、島根原子力発電所が立地する松江市で2回実施するほか、原子力災害対策指針で「緊急防護措置を準備する区域」(UPZ)とされる発電所から30km圏内に位置する島根県出雲市、同雲南市、同安来市、鳥取県米子市、同境港市で開催が予定されている。中国電力が昨秋に規制委員会との意見交換会で説明したところによると、UPZ圏内の人口は約46万人となっている。
 建設中の原子力発電プラントについて、新規制基準適合性審査が申請された例としては、電源開発大間原子力発電所(ABWR、138.3万kW)がある(2014年12月)。
 なお、総合資源エネルギー調査会会合で、島根県出身の坂根正弘基本政策分科会長(小松製作所相談役)は、原子力発電所の新増設を巡る議論の中で、島根3号機を例に、「なぜ、今ある原発が動かせないのか」と述べ、既存・建設中プラントの稼働を先行して考えるべきことを示唆している。