原産協会出前講座 議論を通じエネルギーや環境、地層処分について考える
原産協会は6月7日、沼津工業高等専門学校で物質工学を学ぶ45名(うち女子学生17名)の5年生を対象に、「一緒に考えませんか、『エネルギーのこと!』『廃棄物のこと!』」と題する出前講座を行った。今年で13年目を迎える本講座は、原産協会が全国の大学や高等専門学校に講師を派遣して日本のエネルギー・環境問題や高レベル放射性廃棄物の地層処分などについて説明するもの。それを踏まえ学生たちがディスカッションを通じて原子力エネルギーについて考える機会となっている。
後半では、エネルギー・環境問題と高レベル放射性廃棄物問題について、学生たちが5つのグループに分かれて議論した。最後に行われたグループ発表では、「微生物や触媒などによる高レベル放射性廃棄物の放射能レベル低減や、人工バリアの改善・構築などの技術を開発していくべき」「再生可能エネルギーの普及には、コストや供給安定性の課題をクリアしなければならず、蓄電池などエネルギー変換技術の発展も必要だ」「地層処分に関しては無知に起因する漠然とした不安や不信感があり、国民の理解を推進するPR活動などの努力が必要だ」などの意見が出され、グループ同士での質疑応答も行われた。
古川一実沼津高専准教授は、「エネルギー問題は、毎日電気を使う国民全員に関係があることで、今回の講座を高レベル放射性廃棄物の最終処分などエネルギーについて将来自分で考えていくための知恵としてほしい」と締めくくった。
講座終了後、学生らに感想を求めたところ、井出莉那さんは、「風評被害についての発表を聞き、国民が良く知らないから受け入れられないという現状について考えさせられた」と述べた。また、渡邊颯汰さんは、「水素社会を目指すための研究をしているが、将来実際に技術を進めていく際にも、まずは国民に良く知ってもらうことなど社会的な側面も大事にしていこうと思った」と意気込みを語った。