原子力委員会がエネルギー基本計画の見直し案に見解示す

2018年6月13日

 原子力委員会は6月12日、現在資源エネルギー庁で検討を進めているエネルギー基本計画見直しの素案に対する見解(リンク資料は会合で示された原案)をまとめた。素案については、6月17日まで一般からの意見募集に付されているところで、同委では5月22日に、資源エネルギー庁より主に原子力政策に関する部分について説明を受けている。
 エネルギー基本計画見直しの素案で、原子力発電は、「優れた安定供給性と効率性を有しており、運転コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出もないことから、安全性の確保を大前提に、長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源」と位置付けられている。これについて、原子力委員会の見解では、同委が昨夏に取りまとめた基本的考え方に照らして「評価できる」としつつ、電力小売全面自由化による競争環境のもと、「安価な電力を安全・安定に供給する原点を意識すべき」とも指摘した。その上で、(1)福島の復興・再生、(2)不断の安全性向上と安定的な事業環境の確立、(3)国民理解の深化、(4)産学官連携の重要性、(5)技術開発・研究開発、(6)原子力事業の予見可能性の対策、(7)人材育成と軽水炉技術、(8)核燃料サイクル――の観点から意見を述べている。
 その中で、核燃料サイクルの推進については、「わが国の基本的な方針」と明言し、六ヶ所再処理工場やMOX燃料加工工場の着実な建設・運転とともに、プルサーマル発電や使用済み燃料貯蔵の強化に際し、電気事業者間の協力体制の重要性を指摘した。
 原子力委員会では、1月より「わが国のプルトニウム利用の基本的な考え方」の見直しに着手しているが、岡芳明委員長は、3月に行った電気事業連合会からのヒアリングの中で、事業者間でプルトニウムを融通する仕組みが検討される必要性を示唆している。