新組織「原子力エネルギー協議会」の7月設立が決定、理事長に三菱重工の門上氏

2018年6月15日

原子力新組織設立準備室の発表資料より引用

 原子力産業界全体で知見・リソースを活用し安全性向上を目指す新組織「原子力エネルギー協議会」(Atomic Energy Association 、略称:ATENA)が7月1日に設立されることとなった。電気事業連合会と日本電機工業会が中心となって4月より設立準備を進めてきたもので、電力会社や大手メーカーなど、19の法人・団体が会員となってスタートする運び。
 電事連の勝野哲会長(中部電力社長)は6月15日の月例会見の場で、ATENAの理事長に就任する三菱重工業特別顧問の門上英氏を紹介した。門上氏は、ATENAの役割として、(1)原子力産業界全体で共通課題に取り組み効果的な安全対策の導入を促す、(2)安全性向上という共通の目的のもと規制当局などと対話する、(3)ステークホルダーとコミュニケーションを行う――をあげ、「原子力の安全性をさらに高い水準に引き上げる」ため、リーダーシップを発揮していくとした。
 ATENAには、会員の役員クラスが参加する「ステアリング会議」を置き、安全性向上に向け原子力産業界全体として取り組むべきテーマをここで特定する。テーマについては、専門家によるワーキンググループで技術的検討を行った上で、「ステアリング会議」を経て、「技術レポート」として取りまとめ公開し、これらの原子力事業者への導入状況が、毎年評価・公開されるといった仕組みだ。
 門上氏はこれまで、メーカーの立場から、PWRプラントの安全対策で現場での陣頭指揮を執ってきた。今後、ATENAをリードしていくに際し、同氏は、安全対策にはメーカーも一体となって取り組む必要があるとの考えに立ち、技術者としての経験も活かしながら活動を定着させていきたいとしている。
 また、原子力安全推進協会(JANSI)では、6月14日に定時社員総会が開催され、会長にエグゼクティブ・アドバイザーで元米国原子力発電運転協会(INPO)エグゼクティブ・バイス・プレジデントのウィリアム・エドワード・ウェブスター・ジュニア氏(=写真、JANSI提供)が、理事長に専務理事の山﨑広美氏が就任する新体制が決定した。INPOの経営体制も参考に、電力会社の社長が理事となりJANSIの活動への関与を一層強化することを目指す。