規制委、放射性同位元素のテロ対策強化で関連規則案まとめ
原子力規制委員会は7月11日の定例会合で、テロ対策の強化に向け、危険性の高い放射性同位元素を取り扱う事業者に対し防護措置を義務付ける関連規則類の案をまとめた。4月に成立した改正放射線障害防止法に基づき、事業者が講じるべきセキュリティ対策について定めるもので、2019年9月の施行に向けて意見募集に付される。
同法では、放射性同位元素のうち、発散された場合に人の健康に重大な影響を及ぼす恐れがあるものを「特定放射性同位元素」と位置付けており、今回まとめた規則類では、その防護措置として、防護区域の設定、障壁・監視カメラの設置、緊急時手順書の整備、管理者の選任、出入管理など、詳細を定めている。
「特定放射性同位元素」を取り扱う事業者には、防護措置を統一的に監督する管理者として、「特定放射性同位元素防護管理者」の選任が義務付けられることとなるが、規制委員会では今後、規則類が決定される今秋以降、育成プログラムを実施する予定だ。
2016年に日本が受け入れたIAEAの総合規制評価サービス(IRRS)では、原子力発電所の検査制度向上の必要性とともに、リスクの高い放射線源に係る緊急時対応制度の整備やセキュリティ対策の強化などが指摘されたため、規制委員会では、関連の法整備や制度設計を急いでいた。
11日の会合では、この他、犬猫などの飼育動物に対する陽電子断層撮影(PET)検査に係る法規制の適正化に向けた政令案も了承された。近年、飼育動物についても、高度な放射線医療が求められるようになってきた現状から、獣医療を所管する農林水産省から放射線審議会に技術的検討が諮問されていた。