原子力総合防災訓練、8月25、26日に大飯と高浜を対象に実施

2018年8月21日

 政府主催の2018年度原子力総合防災訓練が8月25、26日、関西電力の大飯発電所(=写真上)と高浜発電所(=写真下)を対象に実施される。原子力災害特別措置法に基づき毎年行われるものだが、近接する2つの発電所が同時に原子力災害に至った場合を想定するのは初めてのこと。訓練には、前年の九州電力玄海原子力発電所を対象に実施した際の人数を大幅に上回る約22,000人(うち、住民約17,000人)の参加が見込まれている。
 福井県が17日に発表したところによると、避難先として県内の他、兵庫県の6市町も含む広域避難訓練には約1,600人の住民参加を見込んでおり、50人収容可能な大型ヘリ(陸上自衛隊所有)、船舶や特殊車両なども活用し、半島部住民避難の実効性を検証するほか、海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」に災害時医療拠点を設置し、半島部の負傷者搬送や応急処置の訓練も行う。
 今回の訓練を前に、内閣府(原子力防災)と原子力規制委員会では、福島第一原子力発電所の教訓や原子力災害対策のポイントを簡単にまとめた動画を作成しており、約6,700人が参加する屋内退避訓練の場でも放映し、住民に広く理解を求めることとしている。
 訓練は、大飯3号機において、京都府北部を震源とした地震による外部電源喪失後、原子炉冷却材の漏えいが発生し、さらに設備故障で非常用炉心冷却装置による原子炉へのすべての注水が不能となり、全面緊急事態に至ることを想定する。他方、高浜発電所においては、4号機で、送電線事故による外部電源喪失後、蒸気発生器への給水が不能となるほか、設備故障で非常用炉心冷却装置による原子炉へのすべての注水が直ちにできなくなり、全面緊急事態に至るという流れだ。
 訓練対象となる高浜、大飯発電所はいずれも、3、4号機が新規制基準をクリアして再稼働している。現在、高浜3、4号機は定期検査中だが、大飯3、4号機は稼働中で、福島第一原子力発電所事故以降、原子力総合防災訓練で稼働中のプラントが対象となるのは初めてとなる。