規制委、エネ庁よりエネルギー基本計画について説明受ける

2018年8月22日

 原子力規制委員会は8月22日の会合で、7月に閣議決定された新たなエネルギー基本計画について資源エネルギー庁より説明を受け意見交換を行った。新たなエネルギー基本計画は、「3E+S」(3E:安定供給、経済効率性、環境適合、S:安全性)の原則の下、従前の計画を踏まえた2030年エネルギーミックス(電源構成で、再エネ22~24%、原子力22~20%、火力56%)の確実な実現を基本方針に据え、2050年までを展望したシナリオ設計を示している。
 会合では、資源エネルギー庁の小澤典明政策統括調整官が、原子力政策に関わる部分を中心に説明した。その中で、小澤氏は、信頼関係を構築するため、「立地地域にはしっかりと足を運んで丁寧に対話する」としたほか、規制委員会が安全性向上に向け定期的に行っている事業者意見交換にも言及し、コミュニケーションの重要性を強調した。また、核燃料サイクル政策に関し、「プルトニウム保有量の削減」が盛り込まれたことや、高レベル放射性廃棄物地層処分に係る「科学的特性マップ」を踏まえた取組強化についても説明した。
 これを受け、プラントの安全審査を担当する山中伸介委員が、原子力発電の「再稼働を進める」ことと「依存度を可能な限り低減」との関係について、「今一つ明確でない」と疑問を呈したのに対し、小澤氏は、「安全最優先での再稼働が重要。まずはエネルギーミックスの達成に努める」と答えた。その上で、エネルギー基本計画に新増設について記載されていないことから、既設炉だけではいつかゼロに行き着くとしつつも、2050年に向けて「選択肢としての有効性を考えていく」としている。また、更田豊志委員長は、「リスクゼロを保証するものではない」という新規制基準合格に対する考え方を明示した上で、「残っているリスクを踏まえ再稼働する」といった視点の欠如を指摘するなどした。
 この他、会合では、内閣府原子力被災者生活支援チームより、規制委員会に対し、線量の低下状況を踏まえ避難指示を解除し居住可能とすることを目指す「特定復興再生拠点区域」の放射線防護対策について、コメントの要請があった。「特定復興再生拠点区域」は、2016年8月に政府が決定した「帰還困難区域の取扱いに関する考え方」で示されたもので、5年を目途に避難指示の解除を目指すとしている。現在、双葉町、大熊町、浪江町、富岡町、飯舘村、葛尾村の6町村による整備計画が認定されており、内閣府の説明によると、2018年内を目途に、立入規制緩和に向けた防護・リスコミ対策など、避難指示解除に向けた政府方針が決定されることとなっている。