原子力機構が福島第一の放射線イメージングで3次元モデルを作成、現場の仮想体験も可能

福島第一1号機原子炉建屋における実証試験の様子

 日本原子力研究開発機構は8月28日、同機構が開発した小型軽量コンプトンカメラをロボットに搭載して、遠隔操作で福島第一原子力発電所原子炉建屋内の汚染分布を測定し、周囲に比べ線量率の高いホットスポットの検知に成功したと発表した。また、遠隔操作で取得した建屋内の情報と作業現場の写真とを組み合わせて、3次元モデル化した仮想空間上の汚染分布マップも作成された。これにより、作業現場の仮想体験も可能となることから、今後、福島第一で働く作業員の被ばく量を低減する作業プロセスの検討や、事前訓練への応用も期待される。

福島第一サイト内にある廃棄物置場を3次元モデル化、VRゴーグルを用いることで作業現場の仮想体験が可能

 原子力機構では、福島第一の原子炉建屋内に飛散した放射性物質の分布を可視化するため、ガンマ線の散乱を分析する手法を用いたコンプトンカメラの開発に取り組んできたが、2017年に現場での利用に目処が付き、ドローンやロボットへの搭載に向けて研究を進めてきた。コンプトンカメラは、高線量環境でも重厚な遮へい体が不要なことから小型軽量化が可能で、このほど東京電力が所有するクローラー型ロボット「パックボット」に搭載されて、1号機原子炉建屋内のホットスポット検知で成果をあげた。
 研究開発に当たった原子力機構廃炉国際共同研究センター遠隔技術ディビジョン長の鳥居建男氏によると、サイト内にはがれきや多くの機器が散在し、放射性物質が3次元的に分布していることから、「まず汚染源を特定することに重点を置いた」などと話している。