福島第一3号機使用済み燃料取り出し「万全の体制で」、トラブル踏まえ開始時期は見直しへ
東京電力は9月6日、福島第一原子力発電所廃止措置の進捗状況を発表した。
3号機使用済み燃料プールからの燃料取り出しに向けては、燃料取扱設備が3月に試運転を開始して以降、不具合が続いているが、それぞれの原因究明・対策を実施し、共通要因となる品質管理上の問題を改善後、試運転作業を再開するとしている。そのうち8月8日に発生したトラブル事象は、燃料把握機を使用済み燃料プールに降下させていたところ、制御系に関する異常を示す警報が鳴り停止したというもので、調査によると、雨水浸入に伴うケーブル接続部の腐食・断線が原因と判明した。
同日福島県内で記者会見を行った福島第一廃炉推進カンパニーの小野明プレジデントは、11月中としていた3号機燃料取り出しの開始時期について、「現実的には難しい」と、精査し直す考えを述べた。その上で、「開始してから大きなトラブルが起きることは絶対避けねばならない。問題点を漏れなく潰していき、万全の体制で」と、工程ありきではなく安全最優先で臨む考えを改めて強調した。
2030年度開始を目処とする2号機使用済み燃料プールからの燃料取り出しに向けては、原子炉建屋上部解体の作業計画立案のため、オペレーティングフロアの全域調査を実施する予定となっているが、これに先立ち8月23日より、調査の弊害となる残置物の片付け作業が開始されている。
また、高さ120mの1/2号機排気筒解体について、8月28日より、高さ18mのモックアップを用いた実証試験が始まった。排気筒は、損傷・破断箇所があることから、耐震上のリスクをより低減させるため、高さ59m以上の上部を遠隔操作で解体することとしており、実証試験により解体装置の検証や作業手順の確認などを行った上、12月にも解体準備作業に着手する計画だ。