更田規制委員長、北海道大地震受け「備えをより堅固に」と

2018年9月12日

 原子力規制委員会の更田豊志委員長は9月12日の定例記者会見で、6日未明に北海道胆振地方中東部で発生した大地震による原子力施設への影響に関し質問を受け、「外部電源に期待しなくても電力供給が確保されるべき」などと、新規制基準の考え方を繰り返し強調した。
 今回の地震により厚真町で震度7、札幌市で震度5強、北海道電力泊発電所の立地する泊村では震度2を観測した。全号機停止中の泊発電所では、道内全域の停電により外部電源3系統6回線が喪失したが、非常用ディーゼル発電機の起動により、各号機とも使用済み燃料の冷却に支障は生じなかった。外部電源は6日13時までに復旧が完了している。
 泊発電所は現在、新規制基準適合性審査の途上にあるが、会見の中で、更田委員長は、「外部電源を失いやすい発電所ほど、内部の備えをより堅固なものにすべき」と、自然災害への備えや深層防護の重要性を強調した上で、「納得のいくまで厳正な審査を行う」との姿勢を示した。
 また、北海道電力からの現場の復旧状況に係る情報伝達が遅れたという報道に関しては、「残念に思っている。その点は今後の課題」と述べ、同社には冷静な対処を求めたいとした。
 前日に発生から17年を迎えた9・11米国同時多発テロも振り返り、更田委員長は、「災害は起きてから必ず『あの時投資しておけば』ということになる。まだ起きていない災害に対し、どのくらい備えるのかは非常に難しい。しかしながら、一旦事故が起きれば甚大な影響を及ぼす原子力については、十分な対処をしておく必要がある」などと語った。
 12日の規制委員会定例会合で、地震・津波関連の審査を担当する石渡明委員は、地質学会出席のため札幌に出張中、地震に見舞われたことに触れた。原子力規制庁では、今回の地震がマグニチュード6.7と大規模で、震源も約35kmと深かったことなどに鑑み、今後、文部科学省の地震調査研究推進本部による評価についても注視していくとしている。