大阪重粒子線センター、10月よりがん治療開始

2018年9月20日

 大阪重粒子線センター(大阪市中央区、=写真上、©大阪重粒子線センター)のがん治療が10月より始まる。放射線治療の中でも、より強力な効果と正常組織への傷害の低減化を可能とする重粒子線治療施設として国内で6か所目となる。
 大阪重粒子線センターは、大阪城を望み官庁の立ち並ぶ京阪神の中心に立地しており、近接する最先端のがん治療拠点である大阪国際がんセンターとも連携しながら、総合的ながん治療を提供する。また、今後の人材育成・交流や普及促進活動に向け、2月に重粒子線治療のパイオニアである量子科学技術研究開発機構と包括連携協定を締結している。
 治療設備の中枢となる加速器システムは、直径約17m、周長約57mのシンクロトロンを採用しており、ここから炭素イオンを光速の70%に加速し3つの治療室に送り込む(=写真下、©大阪重粒子線センター)。細い重粒子線で腫瘍を塗りつぶすように照射することで、がん病巣に高い線量を集中し正常組織への線量を低く抑える「3次元スキャニング照射法」など、最先端の照射法を施す治療室も備えており、年間で1,800人の治療が可能だ。また、内装はユニバーサルデザインの採用により来訪者にとってのアメニティにも配慮している。
 国内の重粒子線治療施設は、量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所(千葉市)、群馬大学附属病院(前橋市)、神奈川県立がんセンター(横浜市)、兵庫県立粒子線医療センター(たつの市)、九州国際重粒子線がん治療センター(佐賀県鳥栖市)で稼働中だ。また、東北地域では山形大学医学部が来秋の治療開始を目指し整備を進めているほか、沖縄でも設置構想がある。