ICEF年次総会閉幕、ステートメントにSMRも明記

2018年10月12日

 2018年のICEF年次総会(於、東京都文京区)が10月11日、2日間の議論を総括したステートメントとロードマップを取りまとめ閉幕した。
 今回、「Driving Green Innovation (グリーンイノベーションを引き起こす推進力)」をテーマに、世界のおよそ70か国・地域から1,000人を超す産官学のリーダーが参集し、気候変動を喫緊の課題ととらえ、ビジネス主導の脱炭素化に向けた技術イノベーションや、消費者も巻き込んだ社会イノベーションについて話し合った。
 閉会式の挨拶で、外務省の鈴木憲和大臣政務官は、日本がパリ協定を踏まえ「2050年までに80%の温室効果ガス排出削減」を目指していることを改めて明言し、「その野心的目標に向け、イノベーションは中核的役割となる」などと強調した(=写真)。さらに、環境省の勝俣孝明大臣政務官も、「従来の延長線ではないイノベーションが必要。ICEFは正に時宜に適っており、世界の知見を結集する有意義なもの」と述べたほか、来年は、G20議長国として「世界の脱炭素化をけん引すべく骨太の長期戦略を作っていく」と意欲を示した。
 ステートメントには、社会イノベーションと技術イノベーションについて深掘りしした12の分科会での議論も盛り込まれ、原子力に関しては、CO2を排出しないエネルギー源として、小型モジュール炉(SMR)の開発への期待が明記された。
 慶應義塾大学大学院特任教授の遠藤典子氏が座長を務めた原子力の分科会では、米国、英国、カナダで民間主導のSMR開発が活発化していることが議論となり、水素製造や海水淡水化への利用、放射性廃棄物の減容などにつながる多様な可能性があげられた。また、SMRについては、先端小型モジュール原子炉「ARC-100」が、例年ICEF年次総会のサイドイベントとして行う参加者投票による「トップ10イノベーション」で、先端シーズ技術の一つとして選ばれている。100MWeのナトリウム冷却炉「ARC-100」は、軽水炉の使用済み燃料を利用することが可能なため、放射性廃棄物問題の解決策となりうることなどが評価された。