規制委、原子力災害発生時の被ばく線量の目安示す
原子力規制委員会は10月17日の定例会で、原子力災害時における住民の屋内退避や避難など、防護対策を計画するための参考レベルとして、災害発生初期(1週間以内)の被ばく線量を100mSv以下に抑えることを目安とする考えをまとめた。
国際的に合意されている考え方を踏まえ、規制委員会では備えておくことが合理的な事故に対し、超えないことを目標とする被ばく線量について、7月より4回にわたって検討を進めてきた。その中では、線量を保守的に低く設定することや極端な事故想定により、緊急時計画が放射線対策に偏重し、避難範囲が必要以上に拡大するといった「益より害が大きくなる」可能性にも留意した。
今回まとめられた参考レベルは、適宜見直していく考えから、周辺住民に対する防護措置について定めた原子力災害対策指針には記載されない。これに関し、会合終了後の記者会見で、更田豊志委員長は、「一番恐れているのは思考停止に陥ること。今後も妥当性を検討すべく様々なケースを考慮する必要がある」と述べた。さらに、「放射線以外の要因が大きな影響を及ぼす場合は、画一的な適用をすべきではない」と、留意事項が記述されたことに関連し、「高齢者ならば無理な移動がはるかに危険なこともある。『被ばくだけを避ければよい』という考えを持たぬよう深く反省すべき」などと、福島第一原子力発電所事故の教訓を改めて強調した。