WRS2018が開催、最新のロボット技術が一堂に

2018年10月19日

 産業からサービスまで最新のロボット・関連技術が一堂に会する「World Robot Summit 2018」(WRS2018、経済産業省、新エネルギー・産業技術総合開発機構主催)が、東京ビッグサイト(東京都江東区)で10月21日まで開催されている。

「ロボットテストフィールド」をドローン研究開発のメッカに、と意欲を燃やす福島県の北島氏

 会期2日目の18日には、「東日本大震災を教訓とした災害対応ロボット」と題するステージイベントが行われた。その中で、内閣府のプログラム「ImPACT タフ・ロボティクス・チャレンジ」のマネージャーを務める東北大学大学院情報科学研究科教授の田所諭氏は、「100年に一度とも呼ばれる大災害が毎年起きている」とした上で、こうした災害に伴う復旧活動などに解決策を与え、産業イノベーションにもつなげていく同プログラムの目標を述べた。2020年には、愛知県と福島県でWRSの本大会が開催予定だが、田所氏は、「技術だけでは駄目。人々の心を変えていく必要がある」と訴えかけ、WRSが今後社会にイノベーションを起こし育てていくことを期待した。
 続いて、日本原子研究開発機構遠隔基盤整備室長の川端邦明氏が、福島第一原子力発電所の廃炉に資する「楢葉遠隔技術開発センター」の本格運用開始から2年半を振り返り、学生参加のロボットコンテストやサマースクールなど、若手を喚起する取組も含め利用実績を紹介した。川端氏は、「利用を通じて新たな技術課題もあがってくる」として、今後同センターが取り組むテーマの拡充を見据えるとともに、廃炉に関わる人材育成の必要性を示唆した。また、福島県ロボット産業推進室長の北島明文氏は、7月に一部開所した「福島ロボットテストフィールド」(南相馬市)におけるドローン試験について紹介した。「福島ロボットテストフィールド」は、2019年度末に全面完成予定で、ロボットによるインフラ点検や災害対応の実証試験を行うエリアは、2020年開催のWRS競技会の一会場となる。

文科大臣賞を受賞した「Omni-Gripper」、ドラえもんの手のように物体を把持する

 会場内には、企業、研究機関、自治体などによる出展ブースの他、10月12日発表の「第8回ロボット大賞」(経産省他共催)受賞ロボットの合同展示コーナーも設けられている。今回、文部科学大臣賞を受賞した「耐切創性式の柔剛切替グリッパ機構『Omni-Gripper』」(東北大学)は、田所氏のプログラムによるものだが、三層構造の袋に紛体を充てんして作られた柔軟性のあるロボットハンドで、がれきが散乱する災害現場での活躍が期待される。

黒柳徹子さんのアンドロイド「totto」、自律型AIを搭載しユーザーの発言に合わせ適切に答える

 この他、「ロボット大賞」で日本機械工業会会長賞を受賞したアーム型の小型ロボット「MotoMINI」(安川電機)10台が同時稼働するリモコンの組立作業、AI搭載の卓球ロボット「フォルフェウス」(オムロン)との対戦、黒柳徹子さんのアンドロイド「totto」(totto製作委員会)とのインタビュー対話など、様々なデモンストレーションが披露され来場者を沸かせていた。