今冬の電力需給対策、北海道に「数値目標なし」の節電要請
資源エネルギー庁は11月8日、今冬の電力需給対策を取りまとめた。それによると、全国で電力の安定供給に最低限必要とされる予備率3%を確保できる見通しだが、北海道については、(1)系統規模が小さく他電力からの融通に制約がある、(2)厳冬のため万一の需給ひっ迫が人の生命・安全に関わる可能性がある、(3)9月にブラックアウトを経験している――ことから、「数値目標なし」の節電要請を行うこととした。節電要請の実施は、東日本大震災に伴う供給力の大幅減少で10季続いた2015年度冬季以来のこと。
同日、総合資源エネルギー調査会の電力・ガス基本政策小委員会で、資源エネルギー庁は、今冬12~3月の電力需給について、10年に1回程度の厳寒を想定した最大需要量に対し供給力が3%を上回っているかを検証し、さらに、北海道胆振東部地震を踏まえた追加検証を行ったことを説明した。
9月の北海道胆振東部地震に伴う停電に関して、北海道が取りまとめたところによると、商工関係被害額(商品・在庫廃棄等)約136億円、売上影響額(営業・操業停止によるもの)約1,318億円、観光消費影響額(宿泊キャンセル等から推計)約356億円、農業被害額約26億円などと、産業活動に大きな影響を受けたとしている。運輸関係では、信号復旧まで道路輸送が再開できない状況も生じた。