規制委、安定ヨウ素剤の配布・服用のガイドライン見直しへ
原子力規制委員会は11月21日、原子力災害発生時、環境中に放出される放射性ヨウ素から内部被ばくを避けるための安定ヨウ素剤の配布・服用について、これまでのガイドラインを見直すことを決めた。12月中にも専門家による検討チームを始動し、2019年4月頃に検討結果を取りまとめる運び。
安定ヨウ素剤の配布・服用に関するガイドラインは、規制委員会が緊急時防護措置の考え方などを定めた原子力災害対策指針に基づき、2013年に取りまとめられている。一方、安定ヨウ素剤服用に関する国際的基準としては、世界保健機構(WHO)がガイドラインを定めているが、福島第一原子力発電所事故に対するIAEA勧告などを受け、2017年に改正されている。この他、関係自治体からの配布方法の簡便化に係る要望も踏まえ、規制委員会では医学的見地に基づき、適切な服用のタイミング、服用を優先すべき者、副作用など、所要の検討を図ることとした。
21日の定例会合で、更田豊志委員長は、「まず医師、薬剤師といった専門的立場から結論を出してもらうことが重要。それを踏まえ、配布をどうするかという議論で自治体の方々にも入ってもらう」と、段階的に検討していく必要性を強調した。
全国原子力発電所所在市町村協議会では、政府への要望の中で、UPZ域(原子力施設から概ね30km圏内)における安定ヨウ素剤の緊急配布や服用に関する明確な基準を示すとともに、広域避難や屋内退避の際にも迅速かつ確実に配布・服用が行える仕組みを構築するよう防災対策の充実化を求めている。