エネ庁WG、高速炉開発に向け戦略ロードマップの骨子示す
高速炉開発に関わる資源エネルギー庁のワーキンググループは12月3日、今後10年程度の開発作業を特定するための戦略ロードマップの骨子を示した。2016年12月に「高速炉開発の方針」が取りまとめられたのを受け、ワーキンググループでは、国内有識者の他、中国、米国、フランス、OECD/NEAなどからヒアリングを実施し検討を進めてきた。
「高速炉開発の方針」では、「『実験炉』、『原型炉』、『実証炉』、『商用炉』という4段階の開発段階を経て、数十年先の将来を見据えながら進める長期にわたるプロジェクト」との認識を示し、実験炉「常陽」や海外プラントなどを活用し、廃炉が決定した原型炉「もんじゅ」を再開した場合と同様の技術的知見の獲得を図るとしている。その中で、戦略ロードマップは、高速炉特有の様々な技術課題を克服する具体的方策の精緻化を図るものとして、2018年内目途の策定が要請されている。
戦略ロードマップの骨子では、ウラン需給の現状などの政策環境・社会情勢を勘案し、高速炉の本格的利用が期待されるのは、21世紀後半頃との見通しを示した。その上で、「21世紀半ば頃の適切なタイミングにおいて、技術成熟度、ファイナンス、運転経験などの観点から現実的なスケールの高速炉が運転開始されることが期待される」としている。
今後の研究開発の進め方としては、(1)競争を促し様々なアイデアを試すステップ、(2)絞り込み支援を重点化するステップ、(3)今後の開発課題および工程について検討するステップ――の3つに区分した。まず当面5年間程度は、これまで培った技術・人材を最大限活かし、民間のイノベーション活用による技術間競争を促進する。2024年以降に、採用可能性のある技術の絞り込みを、国(政策実現性を確認)、日本原子力研究開発機構(技術的知見を蓄積)、電気事業者(事業化の見通しを判断)が、メーカー(技術的実現性に責任)の協力を得て実施するとしている。
また、エネルギー基本計画改定など、一定の段階でホールドポイントを設け、研究開発成果の状況・進捗・妥当性の確認を行うことや、ロードマップの見直し、国際協力の活用についても明記する。