内閣府が「特定復興再生拠点区域」の放射線防護対策、きめ細かな安全・安心対策を

 内閣府原子力災害対策本部は12月12日、帰還困難区域で線量の低下状況を踏まえ避難指示を解除し居住可能とすることを目指す「特定復興再生拠点区域」の放射線防護対策について、原子力規制委員会の定例会合で説明した。
 「特定復興再生拠点区域」は、各市町村長が区域の設定や環境整備に関わる計画を作成し、国が認定するもので、2017年9月の双葉町に始まり、現在、大熊町、浪江町、富岡町、飯舘村、葛尾村の6町村による計画が認定されている。例えば、2018年3月認定の富岡町による計画では、同町の帰還困難区域で概ね半分弱の面積となる約390haが設定されており、2022年度の避難指示解除を目指し、上下水道・電気・道路などのインフラ復旧や、桜並木の観光資源活用といった産業再生に向けた取組が進められている。特に、JR常磐線の全線開通を見据え夜ノ森駅周辺では2019年度末頃までの一部先行解除を目指している。
 このほど内閣府が示した「特定復興再生拠点区域」の放射線防護対策は、避難指示解除前に帰宅やまちづくりなどを進める帰還準備段階と、避難指示解除に向けた段階の2段階からなっている。帰還困難区域は、立入りを厳しく制限してきた区域だが、帰還準備段階では、(1)個人線量の把握・管理、(2)被ばく線量の低減に資する対策、(3)分かりやすく正確なリスクコミュニケーション・健康不安対策――を講じることで、バリケードなどの防護措置を不要とし、避難指示解除への取組を加速化したいという住民の意向に応える。
 また、続く避難指示解除に向けた段階では、「特定復興再生拠点区域」での活動時間・範囲が広がることから、個々人の被ばく線量の測定や相談体制の充実化を図るなど、きめ細かな安全・安心対策とともに、日常生活を営む上での不安解消につながる対策を講じていくとしている。