規制委と四国電力が意見交換、佐伯社長「核燃料サイクルを完結」と強調
原子力規制委員会は12月17日、四国電力の佐伯勇人社長らと意見交換を行った。同委が事業者のトップを順次招き、安全性向上の取組について公開の場で話し合うもので、佐伯社長がこれに臨むのは2017年7月以来3度目となる。
四国電力伊方発電所では、2016年5月の1号機廃止に続き、2018年5月に2号機も廃止され、現在3号機の1基のみの運転となっている。また、使用済み燃料対策では5月に、2023年の運用開始を目指し乾式貯蔵施設に係る原子炉設置変更許可が規制委員会に申請された。60年間の運転期間を想定すると今後36年運転される3号機と2基の廃炉作業が並行することから、佐伯社長は「互いに干渉し合うことのないよう技術陣をしっかり指導していく」との取組姿勢を示した。
また、西日本を中心とする集中豪雨など、この1年災害が相次いだことを振り返り、佐伯社長は「自然災害に謙虚に向き合う必要性を痛感した。ハード・ソフトの両面から電力インフラの強靭化を図っていく」として、安全を最優先に電力安定供給の使命を着実に果たしていくことを改めて強調した。これに対し、地震・津波関連の審査を担当する石渡明委員は、この機会に発電所における浸水対策を再度見直して欲しいなどと指摘した。
四国電力では、「スモール・メリット」を活かし地域に寄り添った活動を展開しており、今回の意見交換では、原子力災害に備えた放射性物質防護機能を持つ「クリーンエアドーム」の配備(佐田岬半島)、地域医療の充実化に向けた「医師確保奨学金制度」の創設、今年で30年を迎えた訪問対話活動など、「伊方方式」による地元との信頼関係構築の取組が説明された。
更田豊志委員長が新規制基準適合性審査が進行中の六ヶ所再処理工場に関して見方を問うと、佐伯社長は「核燃料サイクルを完結させるのは電気事業者の大きな命題」として、「不退転の思い」で支援していく考えを強調した。
この他、廃炉に伴う廃棄物・クリアランス、新検査制度、長サイクル運転に関する質疑応答があった。
更田委員長は19日の定例記者会見で、四国電力から発言のあった長サイクル運転に関し「自身は規制の立場だが、まず一般論から言って地元の了解がカギとなる。諸外国では随分と進んでいる。具体的な申し出があれば前向きに議論する体制も必要」などと述べている。