原産・高橋理事長、海外からの品質・技術力に対する期待を強調
原産協会の高橋明男理事長は12月20日、年内最後の定例プレスブリーフィングを行った。2018年を振り返り、原子力規制委員会による審査の関連では、4基のプラントが新規制基準をクリアし発電を再開したほか、日本原子力発電東海第二がBWRとして初めて運転期間延長認可を取得するなど、進捗があったとした。また、最近の出来事としては、原子力発電環境整備機構による包括的技術報告書の公表、折りしも当日まとまった高速炉開発戦略ロードマップの提示や、海外展開の関連で、英国(ウィルヴァ・ニューウィッド)やトルコ(シノップ)の各プロジェクトが難航している状況をあげた。
ウィルヴァ・ニューウィッドプロジェクトを巡る報道に関し見方を問われた高橋理事長は、「コストも一つの要素だが、日本の技術に対する期待は確かだと思う」とした。さらに、「改めて日本が原子力発電を輸出する意義は?」との問いに対し、「まずは、福島第一原子力発電所事故を踏まえた安全対策も含め、技術を通じた世界への貢献。これまで培ってきた技術の継承やレベルアップ、サプライチェーンの維持とともに、今後若い人たちが原子力に魅力を感じるには、海外プロジェクトの存在が非常に重要」などと答えた。
また、高速炉開発については、「現在ウランの需給は緊迫していないものの、日本では産出しない。『すぐに必要』という話ではないが、やはり技術開発を進めていかねばならない」と意義を述べた。この他、フランスの「ASTRID」計画縮小がもたらす技術協力への影響、民間主導による高速炉開発のあり方に関する質疑応答があった。
これらの質疑も踏まえ、高橋理事長は、日本の原子力産業の国際貢献に関し、品質や技術力に対する海外からの高い評価とともに、プラント建設における「on time on budget」など、マネジメント能力もセールスポイントとなっていることを強調した。