福島第一3号機、年度内の使用済み燃料取り出し開始に向け来月訓練を実施

 東京電力は1月21日、福島第一原子力発電所廃止措置の進捗状況について原子力規制委員会の監視・評価検討会で報告を行い、3月末を目指す3号機使用済み燃料の取り出し開始に向けて、燃料取扱設備で発生した不具合への対応や、復旧後の機能確認を確実に進めるとした上で、作業員の技能向上のため2月下旬より実施する燃料取り出し訓練の工程を示すなどした。
 3号機使用済み燃料の取り出しについては、2018年3月に試運転を開始した燃料取扱設備でケーブルの接続部損傷などの不具合が相次いだため、安全点検を9月から実施することとなり、当初予定していた11月の取り出し開始が延期となった。東京電力の説明によると、安全点検は12月25日に完了し、その中で、燃料取扱設備の機能・設備に影響を及ぼすものとして抽出された14件の発生事象のうち、13件について既に必要な対策を施したとしている。また、不具合発生の調達品が一般産業品かつ海外メーカーの製品だったことを省み、今後の対策の方向性として、(1)一般産業品を使用する際の具体的な要求仕様提示、(2)工業規格に応じた代替品の早期調達、(3)要求を満たす製品が作られていることを確認する仕組みの構築、(4)仕組みを徹底させる責任者の配置――をあげ、継続的改善に取り組むとした。
 今後、燃料取扱い中におけるモーター故障に備えた手動操作の確認試験などを経て、2月下旬にも(1)燃料取扱設備訓練、(2)輸送容器訓練、(3)燃料移動訓練――の一連の遠隔操作訓練を行い、輸送容器1基目の燃料取り出し開始までに万全の体制を整えていく。

1号機X-2ペネからの原子炉格納容器内部調査のイメージ(東京電力発表資料より引用)

 この他、東京電力からは、1号機原子炉格納容器内部調査に向けたアクセスルート構築作業計画について説明があった。1号機原子炉格納容器では、2017年に行った調査で堆積物が水中に確認されたことから、今後の詳細分析のため潜水機能付ボートを開発中だが、調査装置のアクセスに用いるX-2ペネ(所員用エアロック)外・内扉への孔あけ作業に早ければ年度内にも着手するとしている。原子炉格納容器内部調査は、孔あけ・干渉物切断、ガイドパイプ設置によりアクセスルートを構築した後、2019年度上期にも開始する予定。