「原子力人材育成ネットワーク」報告会開催、国際機関での活躍をテーマに特別セッションも
「原子力人材育成ネットワーク」の報告会が2月15日、都内で開催され、1年間の活動成果を報告し意見交換を行った。今回の報告会では、原子力規制委員会が取り組む規制人材の確保・育成について原子力規制庁人事課による講演が初めて行われたほか、原子力人材のグローバル化をテーマとする特別セッションが設けられた。
「原子力人材育成ネットワーク」は、産学官の相互協力のもと、原子力人材育成に係る活動を一体となって効率的かつ効果的に推進する枠組みで、2010年の設立から現在10年目に入っている。今後10年先のあるべき姿を想定し策定された「原子力人材育成ロードマップ」では、(1)研究炉等大型教育・研究施設の維持、(2)海外原子力人材育成の戦略的推進、(3)戦略的原子力人材育成のための司令塔の設立検討――を、国を挙げて取り組むべき重要事項に掲げている。
報告会の開会挨拶で同ネットワークの運営委員長を務める高橋明男・原産協会理事長(=写真)は、ロードマップに沿って着実に原子力人材育成が推進されることに改めて期待を寄せ、そのための司令塔機能を担えるよう、4月に「戦略ワーキンググループ」を新たに立ち上げることを強調した。
続いて、ネットワーク事務局長の桜井聡氏(日本原子力研究開発機構原子力人材育成センター長)が、分科会による活動の状況や今後の計画について説明した。その中で、「国内人材の国際化分科会」の関連では、各国で原子力政策に係るリーダーの育成に向け毎年日本で開催されている「IAEA原子力エネルギーマネジメントスクール」で、2018年度の海外参加者のうち女性が半数に上ったことを強調した。さらに、東京オリンピックに合わせ2020年夏に日本開催を予定する「世界原子力大学/夏季研修」(WNU/SI)への協力状況について報告。桜井氏は、今後の検討課題として、国際機関で働く上でのモチベーション向上などをあげた。また、「初等中等教育分科会」の関連では、中学校理科教員に放射線教育に関する教材を紹介するため毎年ブース出展を行っている「全国中学校理科教育研究会全国大会」の他、2019年度は技術・家庭科の分野でも出展を検討していることを述べた。
活動報告を受けて、特別セッションでは、国際機関における今後の日本人の活躍に向け、外務省不拡散・科学原子力課主査の道勇昭秀氏からの講演が行われたほか、大阪大学大学院工学研究科博士後期課程2年の石井大翔さんが2018年に6か月間のIAEAインターンシップに参加した経験を披露した。