規制委が日本原燃幹部と意見交換、増田社長「発電所との違いをしっかり認識」と強調
原子力規制委員会は2月18日、日本原燃の増田尚宏社長らと意見交換を行った(=写真上)。同委が事業者の経営幹部を順次招き、公開の場で安全性向上の取組についてヒアリングを行うもので、日本原燃とは2016年12月以来3回目。
東日本大震災発生時に東京電力で福島第二原子力発電所の安定化を、その後福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策をリードしてきた増田社長は、六ヶ所再処理工場に代表される日本原燃の施設に関し、(1)取り扱う核燃料物質が様々で複数建屋に分布、(2)未臨界の核燃料物質を非密封の環境下で取り扱う、(3)様々な化学物質を取り扱う――という技術的特徴をあげ、「発電所との違いをしっかり認識して対応したい」と強調した。その上で、核物質防護、臨界安全管理、火災・爆発対策、内部被ばく管理など、施設の特徴を踏まえた安全設計・安全管理の考え方を再確認し、保安活動の継続的改善に取り組んでいくとしている。
1月より日本原燃の経営トップとして現場に臨んだ所感について増田社長は、「作業が『請負企業に任せ切り』という印象を強く感じた」として、同社社員が各々の作業目的を十分理解し管理するよう現場に出向いて気付きの感度を高める「マネジメントオブザベーション活動」に取り組んでいることなどを述べた。さらに、「全体を俯瞰して理解する考え方が非常に薄い」とも憂慮し、「フランスのラ・アーグ再処理工場からも学び、『どういうエンジニアを育てていくのか』というところから取り組まねばならない」と強調。更田豊志委員長は、増田社長の福島第二原子力発電所所長時の経験にも触れ、「自身が係る施設について十分理解することは、事故防止だけでなく、事故が発生した際にも最善の対応をとる上で極めて重要」と述べた。
意見交換終了後、記者団の取材に応じた増田社長は、現在新規制基準に係る適合性審査が終盤となっている六ヶ所再処理工場を巡り、プルトニウムの需給バランスについて問われたのに対し、「まずは安全・着実に動かすことから」と強調した(=写真下)。