東日本大震災から8年を迎え福島県知事「復興の加速」を強調、規制委員長や東電社長も訓示
福島県の内堀雅雄知事は3月11日の記者会見で、東日本大震災・福島第一原子力発電所事故から丸8年を迎えたのに際し、「県民の皆様の懸命な努力と国内外からの温かい支援を受け、福島県は着実に復興への歩みを進めている。心から感謝の意を伝えたい」と述べた。さらに、避難指示が解除された地域の学校や商業施設の再開、「福島イノベーション・コースト構想」の拠点整備、産学官連携による研究開発プロジェクトの進展などを例に、「目に見える形で復興を実感できる場面が増えてきた」と強調。一方で、被災者の生活再建、廃炉・汚染水対策、県全体の産業振興、急速な人口減少、風評被害など、山積する課題をあげ、「さらなる復興の加速、福島ならではの地方創生に力を尽くしていきたい」と決意を述べた。
会見の中で、若者たちの活躍に期待感を示した内堀知事は、10日にバドミントン全英オープンで福島県富岡高校出身の桃田賢斗選手が男子シングルスで日本人初の優勝を遂げたことについて問われたのに対し、「大変うれしく思う。復興に取り組む地元の皆様に勇気と感動を与えてくれた」と喜びをあらわにした。
また、原子力規制委員会の更田豊志委員長は、福島第一原子力発電所事故から8回目の3月11日に際し、原子力規制庁の職員らに訓示を行った。更田委員長は冒頭、「事故に対する反省は、原子力規制委員会・原子力規制庁の正に原点」と強調した上で、前年の職員訓示でも述べた人間の持つ「現状維持欲求」に関し改めて警鐘を鳴らし、「自らの責任範囲において『疑問がある』、『おかしい』、『理解できない』と思ったら声を上げる義務がある」と訴えかけた。さらに、福島第一原子力発電所事故に関し、「事故発生以前、直後、現在に至るまで、まだ考えるべきことが無数にある」として、職員同士でも話し合って欲しいなどと述べた。
同日、東北地方太平洋沖地震発生時刻の14時46分、東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所「新事務本館」では、1分間の黙祷が行われた後、小早川智明社長が社員らへの訓示に立った。小早川社長は、今なお多くの住民の方々が避難生活にあることに対し「痛恨の極み」とした上で、福島第一原子力発電所の廃炉完遂に向けて「足元のリスク低減に努め、一歩一歩着実に進めていく」と決意を新たにした。さらに、福島第一3号機燃料取扱設備のトラブルや柏崎刈羽原子力発電所のケーブル火災など、昨今発生した品質管理を巡る問題に関し、「振り返ると、『正しい情報を伝える』ことができていなかった」として、今後全社一体でコミュニケーション能力の向上に取り組んでいくことを強調した。