規制委、六ヶ所再処理工場の「審査書案」で原案示し議論
原子力規制委員会は3月20日の定例会合で、新規制基準に係る適合性審査が進められている日本原燃六ヶ所再処理工場(=写真)の「審査書案」の原案(討議用資料、最終的な審査結果の箇所はブランク)を示し議論した。六ヶ所再処理工場の審査は、昨秋までに審査会合での主要な論点の確認を終え、現在終盤となっており、前回13日の定例会合で、更田豊志委員長は、発電所と異なり初のケースであることから、「審査書案」の原案を次回会合で示し、原子力規制庁幹部も含めコメントを求める考えを述べていた。
20日の会合で、重大事故対処などのプラント審査を担当する田中知委員は航空機落下や火災に関して、地震・津波の審査を担当する石渡明委員は敷地周辺の活断層「出戸西方断層」に伴う地震動評価に関して、それぞれ記述の充実化を求めた。また、発電プラント関係の審査を担当する山中伸介委員は、建屋の種類が多岐にわたる施設固有の特徴を指摘し「もう少し説明を」と述べるなど、「審査書案」の最終化に向けてさらに修文を要することが示唆された。
これらを踏まえ、更田委員長は、「事業者の申請を受け判断に至った考え方、『何をどう確認したのか』をきちんと書く必要がある」と述べ、引き続き審査会合を開く方向性を示した。
会合終了後の記者会見で、更田委員長は、六ヶ所再処理工場の審査終了の見通しについて問われたのに対し、「ない」と予断を持たずに対応する姿勢を明示した上で、今後審査チームが考慮すべき点として、重大事故に関し「炉心損傷といった大きなターニングポイントがない。守るべきものが面的に広がっている」と、発電所との違いをあげるなどした。今後の審査会合の開催については、事業者とやり取りする見込みから「少なくとも2回は必要」と述べている。
六ヶ所再処理工場の審査は、2014年1月に日本原燃が規制委員会に申請してから5年が経過している。