日立GE・IRID、福島第一1号機原子炉格納容器内部調査に向けボート型装置を開発

潜水機能付きボート「ROV-A」(ガイドリング取付を行う)について説明する日立GEの野中善夫主任技師

 日立GEニュークリア・エナジーと国際廃炉研究開発機構(IRID)は3月28日、福島第一原子力発電所1号機の燃料デブリ取り出しに向けて、原子炉格納容器内部調査を行う潜水機能付きボート型アクセス調査装置を開発したと発表した。調査装置は同日、茨城県日立市の日立GE臨海工場で報道関係者に公開された。
 福島第一1号機では、2017年3月に実施した原子炉格納容器内部調査で、ペデスタル(原子炉圧力容器下部)外側地下階の水中に堆積物が確認されたことから、日立GEとIRIDは、堆積物の性状やデブリ取り出しに伴う影響などの知見を拡充する調査装置として、2019年度上期の導入を目指し潜水機能付きボートの開発を進めてきた。

調査装置の遠隔操作訓練の模様

 今回開発されたのは、潜水機能付きボート5種類(直径約25cm、長さ約110cmの円筒型)と小型ボート1種類(高さ約18cm、幅約20cm、長さ約45cmの箱型)。5種類の潜水機能付きボートは、作業の流れの順に、それぞれガイドリング取付、堆積物3Dマッピング、堆積物厚さ測定、燃料デブリ検知、堆積物サンプリングの各機能に合わせたセンサー類を搭載。小型ボートは、装置のケーブルが既設設備に絡まることを防ぐガイドリングの取付後、続くデータ取得やサンプリングに備え全体像を把握するためのもので、広範囲を目視できるよう望遠カメラや広角カメラなどを搭載している。現場への導入に向けて現在、実プラントを模したモックアップによる操作員の訓練が行われているところだ。

2017年の1号機原子炉格納容器内部調査に投入された「PMORPH」


 東京電力福島第一廃炉推進カンパニー・プレジデントの小野明氏は28日、廃炉の進捗状況を報告する月例の記者会見で、今後の燃料デブリ取り出しに関する質問に対し、「プラントの特徴を踏まえた装置を開発することが重要」とした上で、中長期ロードマップが掲げる作業ステップの通り、2019年度内に燃料デブリ取り出しに最初に着手する「初号機」を示す考えを明言した。

1号機原子炉格納容器内部調査の装置全体図(IRID・東京電力発表資料より引用)