政府・有識者懇、「パリ協定」に基づく長期戦略策定に向け提言

2019年4月3日

 温室効果ガス低排出型の経済・社会を目指す長期戦略について検討する政府の有識者懇談会は4月2日、提言を取りまとめ安倍晋三首相に手交した。2019年のG20議長国として、「環境と経済成長との好循環を実現し、世界のエネルギー転換・脱炭素化を牽引する」決意のもと、気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」に基づき、(1)ビジネス主導の国際展開、(2)イノベーションの推進、(3)グリーン・ファイナンスの推進――を3本柱とする新たなビジョン策定に向け議論してきたもの。
 提言では、最近の情勢・変化として、「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)が「パリ協定」よりも厳しく地球温暖化の現状を指摘した「1.5度C特別報告書」について述べ、国際社会における脱炭素化に向けた議論の高まりを強調。世界のエネルギー転換・脱炭素化を促すイノベーションの例としては、次世代蓄電池、水素製造・貯蔵・利活用、宇宙太陽光、次世代地熱、次世代原子力、海流発電などをあげている。
 今後のエネルギー政策に関しては、第5次エネルギー基本計画でも掲げる通り、まず「3E+S」(安定供給、経済効率性、環境への適合、安全性)のバランスの重要性をあげた。電力分野では、2050年に向けて再生可能エネルギーの主力電源化など、エネルギー転換・脱炭素化を進め、原子力については、可能な限り依存度を低減しつつも、バックエンド対策、立地対策や規制対応、技術開発を含め、安全性確保を大前提とした活用を議論すべきとされている。