経団連が「日本を支える電力システムを再構築する」提言を発表
日本経済団体連合会は4月8日、「日本を支える電力システムを再構築する」と題する提言を発表した。地球温暖化問題に対する国際的な関心の高まりの一方、東日本大震災以降、日本の電力が(1)化石燃料比率の上昇、(2)再生可能エネルギー拡大に対する環境整備の停滞、(3)原子力発電所再稼働の低調、(4)割高な電気料金――の「4つの危機」に直面しているとして、今後の技術開発や投資環境整備に向けて講ずるべき施策をまとめたもの。
提言では、「4つの危機」を放置すれば「エネルギー政策の根幹をなす3E(安定供給、経済効率性、環境性)の崩壊」につながり、気候変動対策、産業競争力、レジリエンス強化、地方創成など、目下の幅広い重要政策課題に支障を来たすと警鐘を鳴らしている。その上で、経済界として「停滞している電力投資を活性化する環境整備が不可欠」との現状認識を示し、電力需要、発電分野、送配電分野、ファイナンスについて、今後に向けた提案を述べた。
原子力については、「世界が将来にわたって安定的にエネルギーを確保し、脱炭素化を目指していく上で不可欠なエネルギー源」と明言し、既設発電所の再稼働、安全性を大前提とした規制の合理化、リプレース・新増設の実現などに取り組み「継続的活用」を図るべきとしている。その中で、安定的な事業環境の確立や技術開発の重要性とともに、規制合理化に関しては、「震災から現在までに経過した8年間という期間は、原子力発電所の通常の運転期間40年の2割に相当する」として、審査においてプラントが稼働していない期間を控除することなど、技術的観点からの検討も求めている。