規制委が大山噴火の降灰に関する影響評価で考え方示す、「バックフィット」の可能性も

2019年4月17日

 原子力規制委員会は4月17日の定例会合で、関西電力の原子力発電所に係る火山影響に関し、大山(鳥取)噴火の降灰評価から、「少なくとも発電所の安全機能に影響を及ぼしうる火山事象に係る基本設計方針に影響がありうる」との考えを示した。
 規制委員会は、火山事象に係る安全規制の高度化に向けて検討を行っていた中で、2018年11月に京都市内での「大山生竹テフラ」(大山火山起源の降下火砕堆積物)の降灰層厚が25cm程度、その噴出規模はこれまでの知見を上回る10立方km以上とみられるとの新知見を認定した。これを踏まえ、同委は12月に、関西電力に対し高浜、大飯、美浜の各原子力発電所敷地における降下火砕物の最大層厚を再計算することを指示したところ、同社より最大となる高浜発電所で21.9cmなどとする報告を受け今回の考え方を示したもの。関西電力の高浜1~4号機、大飯3、4号機、美浜3号機の7基は新規制基準に係る適合性審査をクリアしており、その審査では、「大山生竹」の噴出量も考慮した数値シミュレーション結果も踏まえ、火山灰の層厚は10cmと評価されていた。今回の考え方が示されたことにより、新たに得られた知見への適合性を確認するいわゆる「バックフィット」を行う可能性も示唆された。
 更田豊志委員長は、会合後の記者会見で、「バックフィット」や設置変更許可などの規制要求に関して「今の時点で確たることは言えない」とした上で、「対策の要否も含め議論が必要という結論となったと理解」と述べている。