福島第一、2号機使用済み燃料プールからの取り出しに向け新たな検討プラン

 東京電力は5月30日、福島第一原子力発電所廃炉の進捗状況を発表した。
 2023年度を目処に使用済み燃料プールからの燃料取り出し開始を目指す2号機では、昨冬実施の原子炉建屋オペレーティングフロア内調査で、線量低減の傾向が確認されたため、これまでのオペレーティングフロア上部を解体する工法2案に加え、できるだけ解体せず南側に作業用の構台を設置して内部にアクセスする工法も含め検討することとなった。

燃料取り出し工法のイメージ(赤枠が新たな検討プラン、東京電力発表資料より引用)

 福島第一廃炉推進カンパニー・プレジデントの小野明氏は記者会見で、「2号機は水素爆発を免れ原子炉建屋が残っており、うまく使うことで放射性物質を外に出すリスクを格段に抑えられる」として、検討する価値を強調した。東京電力では今後、燃料取り出しの工法について、ダスト飛散対策、作業員被ばくの低減、雨水対策、他の廃炉作業への影響などを総合的に勘案した上で、2019年度末を目途に結論を出すとしている。
 また、同機周辺の環境改善として実施する1/2号機排気筒解体は、当初5月20日の工事開始予定だったが、クレーン組立て後の確認作業で吊り代(クレーンのフックから排気筒頂部までの距離)が計画時と異なっていたことから、クレーンの吊り上げ高さ確保に向け必要な路盤整備工事実施のため、2か月程度の延期となった。協力会社との役割分担や現場確認の不備などが原因だったとしている。解体工事の開始は7月下旬頃、工事完了は2019年度第4四半期を目標としており、今後の工程について、小野氏は「安全かつ着実に作業を進めていきたい」と述べた。
 この他、緊急時対応の改善に向けて5月13日に2号機で短時間の原子炉注水停止試験が行われ、原子炉圧力容器底部温度が概ね予測の範囲内であることなどを確認。1~3号機原子炉格納容器内では試料採取も進んでおり、2018年度実施のウランを含む粒子に着目した電子顕微鏡分析では、燃料被覆材に用いられるジルコニウムをほとんど含まない粒子と相当量含む粒子の2タイプを確認し、今後の燃料デブリサンプルの分析や取扱い方法検討に資する知見が得られたとしている。