東京電力、福島第一燃料デブリ分析に向け「大熊分析・研究センター」の状況を規制委に説明
東京電力は6月17日、福島第一原子力発電所の燃料デブリ分析に係る検討状況を、原子力規制委員会の監視・評価検討会で説明した。福島第一原子力発電所から発生するガレキや燃料デブリなどの処理・処分のため、発電所に隣接した研究開発拠点「大熊分析・研究センター」の整備が日本原子力研究開発機構により進められている。同施設を構成する建屋のうち、施設管理棟(事務所)が2018年3月に運用を開始しており、現在、低・中線量のガレキ類の分析を行う第1棟が建設中、燃料デブリの分析を行う第2棟が設計中となっている。この他、大熊町の復興拠点である大川原地区にサテライトオフィスが開設される予定。
検討会で東京電力は、既存の施設も含め、燃料デブリに係る分析機能を整理した上で、同センター第2棟が担う「燃料デブリの性状を把握することにより、安全な取り出し作業の推進に資する情報を取得するため、分析を行う」役割について述べた。第2棟の施設設計に向けては、東京電力と国際廃炉研究開発機構(IRID)とで燃料デブリの取り出し・臨界管理、収納・移送、処理・処分など、作業実施に当たり必要な分析項目を再整理した上、原子力機構の検討会でその重要度の評価を行ったとしている。評価結果の概要によると、組成、線量率、硬さ・靭性など、計23分析・試験項目(未評価を含む)を、「初期(燃料デブリの取り出し開始から10年程度)」、「中期(同5~20年程度)」、「後期(処理・処分、保管)」の時期ごとに、「最重要項目」、「重要項目」、「やや重要な項目」の3段階の重要度で整理。これを踏まえ、第2棟に導入する設備を検討していく。
また、燃料デブリ分析に係るプロセス合理化の技術開発事例として、多核種を同時に短時間で分析できる「新型ICP-MS」と呼ばれる手法が検討中にあることが紹介された。一方で、第2棟の設計に際し、大きな塊状の試料を切断する機器類の取扱いなどが、「事前に適用性が確認しがたい」課題としてあげられている。